保育園 オムツ持ち帰り論争


保育園で使った子どものオムツ。保護者が持ち帰るのか、保育園で処分するのか、ネット上で議論になっています。各自治体の動向を調べようとネット上で調査を呼びかける動きも出てきました。にわかにわき上がっているオムツ論争、追ってみました。(ネットワーク報道部記者 吉永なつみ・飯田耕太・栗原岳史)
飛び交う意見
オムツの持ち帰りをめぐり、ネット上に意見が飛び交っています。
オムツの持ち帰りを知って驚いたライターが、ツイッターに投稿したことが
きっかけの1つと見られていて、保護者だけでなく保育士側からも意見があがっています。
実態はどうなっているのか、まず東京都内の自治体に対応を聞いてみました。
持ち帰りのわけは
人口およそ73万人と、23区で人口が2番目に多い練馬区。練馬区の認可保育園では保護者が持ち帰ることを決めています。理由の1つが、保護者が子どもの健康状態を確認できるためだと言います。保護者と保育士は、連絡帳や口頭でも子どもの様子についてやり取りをしていますが、オムツがどれくらい使われたかや、排便の具合を確認してもらうことで、園での様子をより知ってもらえるという考えです。

同じように持ち帰りとしている杉並区。ここでは保育園によっては1日に100枚単位で使用済みのオムツが出ます。これをゴミの収集日まで一時的に保管しておくスペースが園内にないことを持ち帰りの一番の理由に挙げていました。
オムツはこのように保管
では実際、保護者に渡すまでどのようにオムツは保管されているのでしょうか。杉並区立荻窪東保育園では、0歳児と1歳児の使用済みのオムツは、トイレの中にある子どもごとのロッカーで保管します。中にはレジ袋などがセットされていて、迎えに来た保護者がそれを持ち帰ります。
2歳児以上の場合はトイレの壁のフックに袋をつり下げていて、その中にオムツを入れていきます。
杉並区の保育園に子どもを通わせている保護者の中には「子どもの体調がわかるし、大変だと感じたことはない」という人もいました。ただ練馬区や杉並区にも、「なぜオムツを持ち帰らなければいけないのか」という保護者の意見が区や保育園に寄せられているそうです。
保育園で処分のわけは
一方、東京・渋谷区は使用した紙おむつをそれぞれの保育園で処分しています。オムツは企業で排出する紙くずと同じ「事業系一般廃棄物」として扱われ、持ち帰って家庭で処理する一般のゴミと違って処分に費用がかかり、区から保育園に出る委託費などでまかなっています。
大量に出るオムツを、ゴミの収集日までどのように保管しているのか、108人の子どもが通う「神宮前あおぞらこども園」を見に行きました。園の駐車場の一角にあるゴミ置き場には、使用済みのオムツを入れる黒いフタの箱があります。
こども園には多くオムツを使う0歳児と1歳児が合わせて28人通っています。1日に45リットルサイズのゴミ袋3つか4つがオムツでいっぱいになり、週3回来るゴミの収集日までこの箱で保管されるのです。
国“それぞれの判断”
国の見解はどうなのか。厚生労働省に聞いてみました。すると「保育所における感染症対策ガイドライン」というものが公表されていることがわかりました。
この中で、オムツについて「交換場所は食事の場は避け、手洗い場がある場所などに特定すること」「使用後のオムツは、ふた付きの容器に保管すること」などを定めていました。ただ使用済みのオムツをどうするかについては方針を示していません。

保育指導専門官の鎮目健太さんにオムツの持ち帰りについて聞くと「園児の人数に合わせたオムツの保管場所が確保できるかどうか、ゴミの回収の頻度がどれくらいかなどを考慮して自治体や保育園ごとで考えてもらうべき問題」「特に下痢をしているときや、感染症がはやりやすい冬場は、袋を2重にしてもらうなど、特別の配慮が必要だが、袋などで密封し適切な処理を施していれば、オムツを持ち帰ること自体が必ずしも不衛生だとは言えない」と話していました。
厳しい意見も
一方、オムツの持ち帰りに厳しい意見もあります。
国立国際医療研究センターの看護師で感染症対策が専門の堀成美さんは「オムツを複数の人の手に渡らせるのは本来避けなければならず、感染対策の点からも持ち帰らせることは望ましいものではない」と話しています。
また「速やかに処分するのが鉄則で、床や子どもが触れられる所には絶対に放置しないこと。できるだけ1か所にまとめ長時間保管しないよう工夫する必要もある」と指摘しています。
各地でも対応さまざま
今回、札幌や大阪、それに福岡といった、東京以外の地方都市でも使用済みのオムツへの対応を聞いてみました。いずれも、オムツを保育園で引き取るか、持ち帰ってもらうかについてのルールはなくそれぞれの事情に応じて、保育園で判断しているということでした。
また保育園の中には、園の案内にオムツを持ち帰るかどうか示しているところがいくつもあり、保護者の関心の高さがうかがえました。
またどのくらいの保育園がオムツの持ち帰りをしているのか、ネット上で調査を呼びかけて結果を公開する動きも出てきていて、そこにさまざまな意見が書き込まれています。使用済みのオムツの持ち帰りをめぐる論争、今後も続いていきそうです。

保育園 オムツ持ち帰り論争

9月12日 20時14分

保育園で使った子どものオムツ。保護者が持ち帰るのか、保育園で処分するのか、ネット上で議論になっています。各自治体の動向を調べようとネット上で調査を呼びかける動きも出てきました。にわかにわき上がっているオムツ論争、追ってみました。(ネットワーク報道部記者 吉永なつみ・飯田耕太・栗原岳史)
飛び交う意見
オムツの持ち帰りをめぐり、ネット上に意見が飛び交っています。
オムツの持ち帰りを知って驚いたライターが、ツイッターに投稿したことが
きっかけの1つと見られていて、保護者だけでなく保育士側からも意見があがっています。
実態はどうなっているのか、まず東京都内の自治体に対応を聞いてみました。
持ち帰りのわけは
人口およそ73万人と、23区で人口が2番目に多い練馬区。練馬区の認可保育園では保護者が持ち帰ることを決めています。理由の1つが、保護者が子どもの健康状態を確認できるためだと言います。保護者と保育士は、連絡帳や口頭でも子どもの様子についてやり取りをしていますが、オムツがどれくらい使われたかや、排便の具合を確認してもらうことで、園での様子をより知ってもらえるという考えです。

同じように持ち帰りとしている杉並区。ここでは保育園によっては1日に100枚単位で使用済みのオムツが出ます。これをゴミの収集日まで一時的に保管しておくスペースが園内にないことを持ち帰りの一番の理由に挙げていました。
オムツはこのように保管
では実際、保護者に渡すまでどのようにオムツは保管されているのでしょうか。杉並区立荻窪東保育園では、0歳児と1歳児の使用済みのオムツは、トイレの中にある子どもごとのロッカーで保管します。中にはレジ袋などがセットされていて、迎えに来た保護者がそれを持ち帰ります。
2歳児以上の場合はトイレの壁のフックに袋をつり下げていて、その中にオムツを入れていきます。
杉並区の保育園に子どもを通わせている保護者の中には「子どもの体調がわかるし、大変だと感じたことはない」という人もいました。ただ練馬区や杉並区にも、「なぜオムツを持ち帰らなければいけないのか」という保護者の意見が区や保育園に寄せられているそうです。
保育園で処分のわけは
一方、東京・渋谷区は使用した紙おむつをそれぞれの保育園で処分しています。オムツは企業で排出する紙くずと同じ「事業系一般廃棄物」として扱われ、持ち帰って家庭で処理する一般のゴミと違って処分に費用がかかり、区から保育園に出る委託費などでまかなっています。
大量に出るオムツを、ゴミの収集日までどのように保管しているのか、108人の子どもが通う「神宮前あおぞらこども園」を見に行きました。園の駐車場の一角にあるゴミ置き場には、使用済みのオムツを入れる黒いフタの箱があります。
こども園には多くオムツを使う0歳児と1歳児が合わせて28人通っています。1日に45リットルサイズのゴミ袋3つか4つがオムツでいっぱいになり、週3回来るゴミの収集日までこの箱で保管されるのです。
国“それぞれの判断”
国の見解はどうなのか。厚生労働省に聞いてみました。すると「保育所における感染症対策ガイドライン」というものが公表されていることがわかりました。
この中で、オムツについて「交換場所は食事の場は避け、手洗い場がある場所などに特定すること」「使用後のオムツは、ふた付きの容器に保管すること」などを定めていました。ただ使用済みのオムツをどうするかについては方針を示していません。

保育指導専門官の鎮目健太さんにオムツの持ち帰りについて聞くと「園児の人数に合わせたオムツの保管場所が確保できるかどうか、ゴミの回収の頻度がどれくらいかなどを考慮して自治体や保育園ごとで考えてもらうべき問題」「特に下痢をしているときや、感染症がはやりやすい冬場は、袋を2重にしてもらうなど、特別の配慮が必要だが、袋などで密封し適切な処理を施していれば、オムツを持ち帰ること自体が必ずしも不衛生だとは言えない」と話していました。
厳しい意見も
一方、オムツの持ち帰りに厳しい意見もあります。
国立国際医療研究センターの看護師で感染症対策が専門の堀成美さんは「オムツを複数の人の手に渡らせるのは本来避けなければならず、感染対策の点からも持ち帰らせることは望ましいものではない」と話しています。
また「速やかに処分するのが鉄則で、床や子どもが触れられる所には絶対に放置しないこと。できるだけ1か所にまとめ長時間保管しないよう工夫する必要もある」と指摘しています。
各地でも対応さまざま
今回、札幌や大阪、それに福岡といった、東京以外の地方都市でも使用済みのオムツへの対応を聞いてみました。いずれも、オムツを保育園で引き取るか、持ち帰ってもらうかについてのルールはなくそれぞれの事情に応じて、保育園で判断しているということでした。
また保育園の中には、園の案内にオムツを持ち帰るかどうか示しているところがいくつもあり、保護者の関心の高さがうかがえました。
またどのくらいの保育園がオムツの持ち帰りをしているのか、ネット上で調査を呼びかけて結果を公開する動きも出てきていて、そこにさまざまな意見が書き込まれています。使用済みのオムツの持ち帰りをめぐる論争、今後も続いていきそうです

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