「仕事ができない人」を全員クビにした会社で起きた驚きの結果


自分の働く会社を思い出していただけると実感としてわかることだが、どんな組織でも「優秀な人」と「そうでない人」がいる。はっきり言うなら「仕事ができる人」と「足を引っ張っている人」である。

では、可能かどうかはひとまず置いておいて、「足を引っ張っている人」を全員解雇し、何割かの「優秀な人」だけで仕事をしたら、会社の業績は上がるだろうか?

■全社員の3割を解雇した会社で起きた驚きの効果

『EXTREME TEAMS—アップル、グーグルに続く次世代最先端企業の成功の秘訣』(ロバート・ブルース・ショー著、上原裕美子訳、すばる舎刊)は、世界に名をとどろかせる最先端の企業で実践されているマネジメントやチーミングの手法を紹介していく。

登場するのはピクサーやザッポス、パタゴニア、アリババなど、急成長とイノベーティブなサービスで知られる企業が並ぶ。いずれも、労働者に大きな裁量が与えられ、労働時間の自由度も高い。もちろん給与もしかり、まさに私たちが思い描く、「外資系企業」そのものだ。

ここで冒頭の「仕事ができない人を解雇して、優秀な人だけを残せば業績は上がるか」という問いに戻るが、この問いは、「業績を上げ、事業を拡大するために何を重視すべきか」に対する企業側の考え方が如実に出る。究極的には、「能力」と「団結力」、どちらを重視するか、と言えるかもしれない。

オンラインDVDレンタルから始まり、今では映像ストリーミングサービスで成長を続ける「Netflix(ネットフリックス)」は、この「仕事ができない人の大量解雇」を過去に行った会社だ。

当時のネットフリックスはまだ小規模な会社だったが、資金繰りに窮し、最も有能な社員80人を残して、その他の人材を解雇した。その割合は全社員の3割に及んだという。

当然、その後の業務で心配されたのはリソース不足である。優秀な人材は残したとはいえ、3割が会社を去ったとなると、既存業務で手一杯になり、事業を成長させる取り組みができなくなることをリーダー陣は懸念していた。

しかし、結果から言えばその懸念は外れた。それどころか、起こったのはまったく逆のことだったのだ。CEOのリード・ヘイスティングスは「誰かの不手際をフォローするための雑務が必要なくなった」と説明しているが、つまり、人数が減った後の方が仕事の質が高まり、業務のスピードも上がったのである。

身も蓋もない言い方だが、レベルの高い人同士でないと成立しない信頼感や協力関係というのは確かに存在する。優秀な人の少数精鋭になったネットフリックスは、一部の「できない人」に足を引っ張られることなく、卓越した人材同士が信頼し合い、能力を余すところなく発揮できる場になっていたのである。

■自由裁量は厳しさと冷徹さの裏返し

この件から、ネットフリックスは自社のチーミングへの教訓を得たようだ。

各分野に最高の人材を揃えることに執念を燃やす同社には「仕事ができない人」はおろか「凡庸な人」の居場所もない。ネットフリックスで生き残れるのは「卓越した人」だけなのだ。そして、社員に求められるのは「パフォーマンス」の一点のみである。

となると、社員に与えられた好待遇からは、企業からの厳しいメッセージが読み取れる。「好きな時間に働いていい、好きなだけ休暇を取ってもいい、最高のパフォーマンスを出し続けるならば。」

裁量を与えていいのは、その裁量を有意義に使える有能な人材だけなのだ。

ネットフリックスの事例を厳しいと感じるかは人それぞれ。本書ではその他にもビジネスの最先端を行く企業の事例が取り上げられているが、パフォーマンスへの厳しい視点というところは共通している。

注視すべきは、その厳しさの中でいかに社員のモチベーションを保ち、結果第一主義が同僚同士の蹴落とし合いに陥らないようにするかというところへの各社の取り組みだ。

成果主義が徐々に浸透してきている日本で、マネジメントに関わるなら本書から得られるものは大きいのではないか。
(新刊JP編集部)

自分の働く会社を思い出していただけると実感としてわかることだが、どんな組織でも「優秀な人」と「そうでない人」がいる。はっきり言うなら「仕事ができる人」と「足を引っ張っている人」である。では、可能かどう
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